それは、甘くて切なくて。
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アカイセカイに包まれる。手は上条君の血が落ちそうに無い位に付いている。
「好き、だよ…上条君…」
「名前…おま、え…は…、」
それまで言って上条君はゲホゲホと咽ている。その都度、アカイ血が混じって白いYシャツを汚す。ああ、なんて美しい。私の全てが上条君で包まれている。なんて甘美な世界なのだろうか。今まで”こう”しなかったのが不思議で仕方なくなってくる。
「…ま、違ッ…!…いる…!!」
「…間違い?これのどこが?」
「全て、だ…!わか、ら……!ゲホッ!!」
ほら、話す度に貴方の口からアカが出る。真っ赤なソレとは対照的な貴方の顔。蒼白でいまにも死んでしまいそう。
「わから…な、い…ぉ…か…?」
「分かんないよ。自分の好きな人に愛されたいのは人の欲望であり願望」
「愛し、方…が、ゲホッ!…ちが…っ!」
「どこが?好きな人に包まれている…」
「ゲホッ!ぐ…」
「貴方が私の手によって死ねば、一生私だけのモノ」
そう、そしてまた私の手のナイフは彼の体を切り刻む。真っ白な…穢れを知らない様な滑らかな肌はアカによって浸食される。
「そして、私は死ぬの」
「ッ、名前…!!」
「貴方は…生きて。それが貴方の罪だから」
私があなたに伝えたかったのは、
(ああ、いつからだろう)
(こんなにも貴方を愛して止まなくなったのは)
(最初の心臓の高鳴りは確かに、)
(恋だった、のに…ね…)
それから瀕死のオレは名前を背中に背負って病院に行こうとした。でも背負えなくて誰かに電話しようとした時、救急車と警備員が来た。
