それは悪魔のように甘美な、

歪に歪む、満ちたる月の晩。

それは月の逆光を受けて、輝いた。

ある所に女が一人。女はシルクの黒いマーメードドレスに身を包んでいた。マーメードドレスは女の華奢な身体の線がはっきり分かり、その白い肌と対象の黒いドレスは女を映えさせていた。

ある所に男が一人。男はワインレッドのスーツに身を包んでいた。金髪か、将又茶髪か、見当の付かない髪の色はワインレッドに合っていた。男は背中に天使のような六枚羽を器用に動かし、女を包み込んでいる。抵抗している様に見える女と男の関係は見えてこない。

「二位」

「あ?」

「貴方、彼女と付き合ってるの?」

そう言って目配せした。視線を辿ると、一人の少女。幼い顔つきをした柔らかい雰囲気の少女だった。

「あぁ」

「…私、あの子と戦ってみたい」

「止めとけよ、面倒だ」

不機嫌そうに言い放って、垣根はもう一度少女を見る。それに合わせて名前も見る。

「私じゃ、駄目?」

上目使いで見上げる名前の姿は普通の男だったら確実に落ちているだろう。しかし相手は垣根という強敵、易々とは落ちないだろうという名前の予想を裏切った。

「別に、いいぜ」

自分から回答を求めたのにも関わらず、承諾を得て驚いた表情をした。しかし直ぐに表情は苦虫を潰した様な顔になった。垣根はそんな名前を笑う。すると、初めは怒っていた名前の表情も釣られたのか微笑みに変わっていった。始終、男と女の関係は不明なままだった。

それは悪魔のように甘美な、