君が忘れてしまっても、僕が覚えていてあげる

私は、病気を持っている。著しく記憶力が低下する病気だ。病状は悪化していくばかりであり、一向に回復しない。酷いものだと思う、運命って自分で決められないから…従っていくしかない。忠実に、無意識に私たち人間はウンメイってモノに従って生きている。

ある日、病気の宣告をされた時…私は一方通行に出会った。最初は恐怖しかなかった。病気の宣告をされたばっかりだったから精神が安定してなくて、私はソレを反射的に死神だと思った。そして私を…殺しに来たんだ、と。

命に関わる訳では無い。只精神的不安が大きく、メンタル面で弱い人は直ぐに耐え切れずに自殺を選ぶ。だからメンタル面で強い人は勉強、人付き合い等の面で不便は感じても死ぬまではいかない。

病院の、屋上。立ち入り禁止の場所だが、私は今…そこに立っている。

「おい」

声がした。静かに響き渡ったソレは酷く澄んでいた。

「何、一方通行」

「ンな所で何してンだよ」

「自殺」

「はァ?頭イカれちまッたのかァ?」

「…そーかも」

「っざけんな…!」

「何さ、何で一方通行が怒るの」

「…俺ァ、」

一方通行から聞いた真実に私は驚愕した。レベル6―。最強を作るために殺した悍ましい程の人の数。

「…でもさ、それって決して幸せとは言えないけど、不幸では…無いと思うよ」

名前は嘲笑した。怒るべきことのはずなのに、そんな彼女に俺は恐怖心を覚えた。

「だってその子達はその為に生まれてきたんだし、寧ろ健康体に生まれる事が出来て良かったとさえ思えるよ」

「…」

「こんなことを言ったら怒るだろうけど…、」

「…?」

「変に心が生まれて、出来た思い出を失うことよりは良いと思う。最悪、にならなかっただけ良いじゃん」

「名前…、」

「私は、記憶を失うの。家族との思い出も、友達との思い出も、…一方通行との思い出も」

名前の表情には喜怒哀楽、どれとも表現しがたい表情をしていた。その顔に後押しされて俺は過去を話した。

「…実は、さっきの話…前にも話したンだぜ」

「…そ…なんだ…」

「でもよォ、テメェの言葉は今よりもっとマシだった」

「…っ、」

「『悲しい運命』そう、お前は言ったンだ」

「ごめんね、」

「何でお前が謝るンですかァ?」

「だって一方通行が、」

泣きそうな顔してるから。そう言った名前の方が、俺にはよっぽど泣いているように見えた。

君が忘れてしまっても、僕が覚えていてあげる

(俺は助けたっかたンだ)

(裏の世界にも入ってないのに、)

(死んだ瞳をしていたアイツを)

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