好きだったよ誰より

最初はそんな気なんて全くなかった。

どうでも良かったし、気にしてなんてなかった。

目で追う度に辛くなる。目に涙が溜まって溢れそうになる。心の淵でどこか気にしている。いつもクロロのことしか考えられない。それ以外は目に入らない。どんなことが起こっても、仕事をしていても。

彼は幻影旅団の団長であり、一方の私はしがない情報屋。

初めて触れた体温は貴方だった。貴方だけが私に光を与えてくれたような気がしたんだ。こんな私を愛してくれる、唯一の存在のような気がしていたんだ。

「どうした、こんなところで」

響く声。私は振り返る。

そこには今まで思考を廻らしていたその人がいた。偶然なのか、必然なのか。態々このタイミングで現れたことは、どうにも神様の悪戯のような気がしてならない。

「いや、別に」

一言、悟られないように早口で告げる。そうか、とクロロも一言だけ告げ、直ぐに私の元から去って行った。只の情報屋である私に、そこまで深い情がある訳でもない。

「・・・クロロ=ルシルフル」

「何だ」

「This thou perceiv’st, which makes thy love more strong, To love that well, which thou must leave ere long.」

ああ、こんなことを言っても彼はわからないのだろうと。

もう存在などしない国の言葉なのだから。

好きだったよ誰より

シェイクスピア、ソネットより

That time of year thou mayst in me behold
When yellow leaves, or none, or few, do hang
Upon those boughs which shake against the cold,
Bare ruined choirs, where late the sweet birds sang.

In me thou see’st the twilight of such day
As after sunset fadeth in the west;
Which by and by black night doth take away,
Death’s second self, that seals up all in rest.

In me thou see’st the glowing of such fire,
That on the ashes of his youth doth lie,
As the death-bed, whereon it must expire,
Consumed with that which it was nourish’d by.

This thou perceiv’st, which makes thy love more strong,
To love that well, which thou must leave ere long.

一年のあの時期なのだ 君が私のうちに見るのは
黄色か ごくわずかあるかないかの木の葉が
冷たい風に揺れる枝の上に残っている時期だ
聖歌堂も廃墟となる あの小鳥たちが歌っていたところも

私の中に君が見るのは夕暮れの薄明り
日没の後に西方で色褪せる
それは次第に暗い夜が奪い去って
死の第二の本性がすべてを封じ込める 安らぎの中へと

私の中に君が見るのはそんな火の輝き
自らの若さの遺灰の上に横たわり
まるでその死の床で息絶えるように
自らを燃え立たせてくれたものと一緒にやつれ果てて

こんなことに君が気づいて 君を愛に駆り立てるのだ
そう遠くないうちに君が別れねばならない者を愛することに

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