ピッピッピッピッ―――
規則的に鳴る鼓動の音、生きている証。
ピッピッピ・・・―――
ある時、それは唐突に、それととても静かに、
―――
終わりを告げた。
その場に立ち尽くすのは彼岸花を想像させる儚さを持つ少年だ。赤く、赤く、どこまでも血のように赤い。そして突如として訪れる闇に、周囲は何もいえないのだ。闇に染まる空、夜を連想させるような漆黒の闇。とても美しく、そして儚く、どこまでもそれはまとまらず。
「名前はシアワセを知てたのか?」
問いは誰の耳にも入ることはなく、ただ少年の呼吸音と共に消える。掠れるような声で、”聞き取ることなんて出来なくても良い”とでも言うかのようだ。そして少年はもう一度問うのだ。
「シアワセとは何ね」
「名前、名前」
何度も名前を呼ぶフェイタンに対し、瞳を閉ざしたまま動くことは無い名前。
「名前…」
そして、いつしか名前を呼ぶことすらやめてしまったのだ。
真っ白な世界で、真っ黒な少年が一人。
名前と呼ばれた少女の下。
安らかな表情で、普段は見せない口元すら見せて。
ゆっくりと目を閉じた。
あの時伝えておけばよかった
