彼を見つけてしまう能力が私にはある。どうしたって彼は私の視界から消えてくれない。そして気付いてしまう。彼は――
「ケイト」
「ん?あ、エイトか~何か用?」
「あっちで隊長が呼んでいた」
「げ、宿題やってないことバレたかな…」
とぼとぼと歩いていくケイト。いつも俊敏な彼女からは想像もつかないほどゆっくりと歩いている。それを微笑ましく見ているエイトは、幸せそうで。私が入ることなんて出来ない。だってエイトはケイトが好きなんだから。もし私が想いを伝えたら、優しい彼はとても困るだろう。そして、私をいとも容易くフるのだろう。想像なんて簡単だし、恐らくその通りになるのだろう。
嫌でも視界に入ってくる彼を無理矢理視界から追い出して、私はエントランスへの扉を開いた。クリスタリウムにでも行って心を落ち着けようと思っていたら、途中でナギと出会って半ば強引に私はテラスに行くことになった。
「んで?何でそんなに泣きそうな顔なのかなー名前ちゃんは」
ナギの顔を見ると、突然安心感が私を襲った。泣かないように堰き止めていた枷が外れたように涙が溢れてくる。珍しく慌てているナギを横目に、溢れ出した涙は止まらない。ナギは居心地が悪そうに頭を掻き、優しく私の肩を寄せた。私は体をナギに預けて、落ち着くまで泣き続けた。
「ナギ、私好きな人がいる。でも、その人も私と同じように好きな人がいるんだ」
「…へえ」
「私はどうしたらいいんだろう。どちらも大切で、失いたくない」
ナギは何故だか暗い表情をして、私の話を静かに聴いてくれた。一瞬だけ見えた、ナギの握り締めた拳に少しだけ恐怖を抱いた。
「エイトに会ってくる」
そのまま足早に魔方陣の方に向かっていくナギ。待って、と声を掛けるもその声は虚しくテラスに響き渡るだけだった。
「なんで、エイトだって知ってるの…?」
恋をする人はみな幾許かの欺きにあう